選ばれた素材には、過剰な演出は要らない。
火を入れた瞬間、野性の香りが静かに立ち上る。
それはどこか懐かしくて、力強い。
ひと口ごとに深まる余韻が、会話を静かにほどいていく。
ジビエは、ただの肉ではない。
自然の中で育った命をいただくという、深い物語がそこにはある。
丁寧に処理された一皿は、野性を纏いながらも驚くほど澄んだ旨みを持ち、
その肉体は、鉄分やたんぱく質といった栄養にも富んでいる。
選ぶ人の感性と、仕立てる人の技。
どちらが欠けても成り立たない肉だからこそ、
私たちは、その価値に敬意を払いたい。
ただ焼くだけで満たされる。
それが本物のジビエの証。